今も昔も、世界は想像以上に繋がっている———。
ソシオ・ヒストリアとは、「人と人の“つながり”の歴史を描いた表現」の事です。
かつて、南方熊楠は「森羅万象は繋がっている」ことを南方曼荼羅で表現しました。
熊楠が生きていた時代、進化論の登場によって、社会は発展によって進化していくと考えられていました。
しかし、熊楠は社会を、そして世界を、“進化”という一方通行のものでなく、様々な方向に“変化”していくのだ、と考えました。
世界(森羅万象)は繋がっていて、繋がっているから様々な方向に“変化”していくのだ。
。。。と考えました。
そして、世界の繋がっている様を、曼荼羅と言う仏教の考えを用い、描いたのです。南方曼荼羅の複雑な線は、世界が繋がっている様を表現しています。
また、文章においては、一つの物事を述べたら、その物事から派生する(繋がっている)事を様々な方向に展開し記述しました。彼の主要な著作『十二支考』では、一つ一つの干支にまつわる話をさまざまな方向から集めて、縦横無尽に展開し、語っています。
更に、森羅万象の縮図ともいえる森で、毎日生物や植物を観察し、文章とイラストで記述することをライフワークとしました。彼のライフワークだった『菌類図譜』では、キノコなどの本物に忠実なイラストとともに、詳細な観察記録を人生をかけて、記述し続けています。
繋がっている世界を、ありのまま日々記述し続けることによって、世界を深く見つめられると考えたのだと思います。
ソシオ・ヒストリアでは、「森羅万象の“つながり”」を、「人と人との“つながり”」に限定し、“歴史的空間”(“時間”と“場所”で確定された空間の繋がり)において日々記述しようと試みました。
一つの主軸となるテーマを決めて、その歴史の中での「人と人との“つながり”」を記述していきます。
そして、その「人と人との“つながり”」が描かれた文章の入り口として、もっとも印象的なシーン(ハイライト、シズル)のイラストを用意しました。
そのため、ソシオ・ヒストリアは「人と人との“つながり”の歴史」を文章とイラストによって、カタチにした一つの表現です。
「ソシオ・ヒストリア」という表現に触れてもらうことで、世界とまではいきませんが、社会を深く見つめられるようになると考えています。
「ソシオ・ヒストリア」は一方的な表現だけとは考えておりません。
「今も昔も、想像以上に世界が繋がっている。」
。。。ことを改めて認識し、重要な考えや物事に潜んでいる「人と人との“繋がり”の歴史」をありのままに記述するという方法論が普及することを望んでいます。
2018年6月3日